夢だよねまさに 



寒い寒い冬の夜だった。
行燈の油もきれて、小さなろうそくひとつを枕元に添えて、は一日の終わりに布団へと入ろうとしていた。
しかし、湯上りについ友達と話し込んでしまい、すっかり冷え切った手足は布団に触れると切れるように痛む。
「寒い…火鉢がほしいなあ」
お給金をためて買ってもいいけれど、ついついこまごました飾り物などを買ってしまってお金がない。
「あったかぁくして眠りたいなあ…」
諦めて冷たい布団に潜り込もうとしたその時、天井裏から音もなく、暗い影が二つ降ってきた。
「ひゃっ」
「しーっ」
「僕たちだよ、ちゃん」
「三郎さん、雷蔵さん!」
オレンジ色のろうそくの光に照らされた二人は、いつも高くくくっている髪もおろし、寝間着姿だ。
「そ、そんな恰好で、」
こそ」
「あっ」
思わず胸元を手繰り寄せた。どうせだれに見られるわけでもない、と思って、かなりくずれた格好をしていたのだ。
「かわいい…」
「いいんだぜ、隠さなくても」
「馬鹿言わないでください!」
ばしんばしんっ、と二人の頭をとりあえずぶったたいた。




「それで、何しにきたんですか?」
冷え切った手足をすり合わせながら、なるべく二人を見ないように下を向きながら聞く。
なんとなくはずかしかった。いつもと違う姿というのもあるし…なんというか、男の色気のようなものを感じた。
ちゃんが寒いだろうと思って」
「私たちが温めてやろうって、な」
「はぁ?」
「まぁま、明日も早いだろ。寝よう寝よう」
二人はなぜかの両腕をつかんで、布団に引きずり込む。
「わあっ」
そして両脇から同じく布団に入り込んできて、ぎゅっと抱きつき、頬を寄せる。
「あ、あの」
急な出来事に対応できず、固まってしまって、再び動き出すころにはすっかり寝る態勢に入ってしまっていた。
「冷たい」
「体冷やしちゃだめだよ、女の子なんだから」
手を握り、足をからませてくる二人にまったく抵抗ができない。
二人の体温が少しずつ移ってきて、恥ずかしさも相まってすぐに暖かくなった。
「こ、このまま寝るんですか?」
「そのつもりだけど」
もあったかくて、私たちもあったかいだろ?」
「それでいいんですか?」
「いーのいーの」
「いーのいーの」
同じタイミングで深く頷く二人に、思わず恥ずかしさを忘れて笑いをこぼしてしまった。
両側から抱きしめられて、こんなことは初めてだけど、なんだかとても安心できた。
「…おやすみなさい」
二人はすでに眠ってしまったのか、返事はなかった。
それがまたおかしくて、はこれ以上なく幸福な気分で自分もまどろみの中へと落ちて行った。




冬のあなたに