シリーズ化の予感 



いつも朝ごはんを用意する彼。
いつも幸村様を起こしている彼。
いつも食器を洗っている彼。
いつもおやつを用意している彼。


彼は武田の戦忍、その名を天下に轟かす、猿飛佐助。




戦うオカンと夢見る少女





「佐助さん、佐助さん」
今日も元気に昼ごはんを作る彼の背中に語りかける。
「佐助さん、今日のご飯はなんですか」
「今日はね、たけのこの炊き込みご飯と、すまし汁だよ。胡麻和えもあるよ」
「そうですか。おいしそうです」
「おいしいよ、期待しててね」
鍋をかきまぜたり、火の加減を見たり、ちょこまかと動き回る彼の背中を眼で追う。
この人はすごい忍なのに、なぜこんなにも家庭的なのだろう。
ちゃんは、お仕事もう終わったの?」
は幸村の屋敷の女中だが、仕事といえば家事、家事といえば佐助、というわけで、ほとんどすることがない。
「終わってしまいました。なので佐助さんのところにきました」
「そう。じゃあこれあげる」
口開けて、と近づいてくる佐助に、素直にあーんと口を開く。
ぽいっとそこに放り込まれたのは、ほのかな甘みのあるかたまり。
「…あめ」
「うん、買い物にいったら、売ってたから。買っちゃった」
「おいしいです」
「うん、よかった」
佐助はまたすーっと鍋の前に戻って行った。
ちゃんは可愛いねえ」
「そんなことないです」
「そんなことあるよ」
「じゃあ、佐助さんは格好いいです」
「まぁね」
「…本当です」
「うん」
いつもはぐらかされる。
可愛いねと言われて、自分は喜ぶ。
格好いいと言えば、軽くかわされる。


(好きなのに)


仕事が終われば佐助のところにいく。
何もなくても佐助のところにいく。
いつも佐助を見ている。
佐助のことを考えている。


(戦に行けば悲しいし)


(怪我をして帰ってくれば、も痛い)


じっとうつむいて考える。


ちゃん、」


呼ばれて頭をあげると、そっと優しく撫でられた。


「ご飯できたよ、みんなで食べよう」


にっこりほほ笑む佐助に、夢見る少女の胸はいつもときめくのだ。
罪作りな男、猿飛佐助。